浄土の地から

浄土の地から、人と地域、社会と医療、を考えていきます。 医学部の医学教育と研修医指導の現場から、紀伊半島は三重県の紀南病院に着任しました。古来からの浄土信仰に基づく熊野詣の地で、地域医療に携わりながら、研修医や医学生たちの、いやしのわざとこころをきたえていきます。自らも。 (旧「医は忍術?」「医学教育でのひとりごと」「いやしのわざとこころ、サナトリウムから」)

熊野詣とは、紀伊半島南部、熊野にある、本宮・新宮・那智の熊野三山を参詣することです。平安時代以降、浄土信仰のもと、熊野全体が浄土の地とみなされるようになり、人々は生きながらの浄土を目指し、熊野詣の道を歩いたのだそうです。

金環日食:眼を痛めてしまった

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金環日食、ご覧になりましたか。

私が働いている病院は、紀伊半島の東海岸側ですので、今回の日食では、ちょうど、中心線が通っているところに近い部分にありました。奇麗な金環日食が観察できる、絶好のロケーション。

ただ、事前の天気予報は微妙でしたので、今日、実際に、金環日食が観察できると期待していなかったのです。もちろん、日食グラスも用意していませんでした。大学生のとき、ハレー彗星が接近したのですが、そのときは、にわか天文ファンとなり、友達と高原に観察に行きましたけど。まあ、40歳をすぎると、そんなものかも(笑)

朝、隣の家の庭が騒がしくなり、おや、と、外をみると、雲間に青空がみえています。

あわてて、庭に出て、空を見上げたら、おお、見えるではありませんか。
そのまま、なんだか、感動しながら、雲を通しての日食観察をしてしまったのです。日食グラスなしで。でも、ほんの数秒間でしたが。

ところが、その後、やや、右眼に違和感。

なんどか、眼をこすりながら、午前中を過ごす。
それが、だめだったようです。

午後から、眼瞼が腫れて来まして、右眼が「コロコロ」します。
なぜか、右の結膜炎と眼嶮炎を発症してしまいました。トホホ。

裸眼での日食観察という馬鹿げた行為、医師にはあるまじき行為、と関係あるのか、ないのか。
明日からは、眼帯だなあ。

でも、金環日食、結構、感動しましたねえ。

患者は「希望」を持っている

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病院は、患者さんが元気になって退院する場所でもあり、また、病態が悪化して、お亡くなりになる場所でもあります。

エリザベス・キュブラー・ロスは、癌などで死に行く患者さんとの対話をまとめ、「死ぬ瞬間―死にゆく人々との対話」という本を著しました。
この本は、医学生や看護学生が必読すべきものとして、位置づけられています。読んだことがない方は、ぜひ、一読を。

この本を、別に、バイブルのように、ありがたく、無批判に受入れるべき、とは思っていませんが、人の死に触れることが少ない、現代社会の若者にとって、しかも、医師や看護師という、人の死に関わる職業をめざすものにとって、この本を読み、感じ、考えることは、とても大切なことだと思っています。

その本の中で、エリザベス・キュブラー・ロスは、死に行く人のほとんどは、最終的に自分の死を受入れると、述べています。
それには、過程があり、

否認、怒り、取り引き、抑うつ、受容

の5つの段階を経ていく、ということを発見しました。
とても、大切なことを述べていると、私も思います。

で、大事なことは、全ての患者が、この5段階を「順番に」経て行くのではなくて、時には戻ったり、あるいは、飛び越えたりすることが多い、ということ 

ウソをつく必要はないとは思っていますが、冷厳な現実を受入れていただいている状況の中で、そのことをことさらに強調して繰り返したり、だから、苦しみや痛みを我慢すべき、と追い込んだり、は不要と思います。私たち医療者が、患者さんの「受容」の段階に、強制的に追い込むことは、かえって、患者さんの「否認」や「怒り」を引き出すことにもなりかねず、また、患者さんが、自分は荒野にひとりぼっちにされている、と感じさせるようなことになっては、本末転倒です。

と、もう一つ。

どの段階にいても、なお、患者は、常に「希望」も持っている

ということ。

「希望」
あの、パンドラの箱の底に残ってしまったという、皮肉なもの。
「奇跡」という言葉に置き換えてもいいぐらいの状態の患者さんでも、常に、「希望」はもっている、という。

この2つのことは、この本を読み、そして、実際の患者さんに接するときの注意ポイントである、と、私は思っています。

実際、患者さんと接していますと、その「希望」の存在に気付かされること、何度もあります。できるだけ、自然に、安らかに、エリザベス・キュブラー・ロスが言う「受容」の段階に持って行けたらと願っています。ましてや、そのために、「希望」を打ち砕く必要はないと思うのです。

この「希望」のおかげで、まるで、地球から遠く離れた月面への探検旅行を行った、勇敢な宇宙飛行士のように、一人一人の普通の患者さんが、自らの死への段階を進んで行くことができるのかもしれません。

患者さんの「希望」、大切にしていきたいと思っています。

抗血小板薬プラビックスのジェネリックをFDAが認証

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抗血小板薬のプラビックスのジェネリックについて、アメリカFDAが公的に認証したという。

アメリカも、医療費の抑制は社会的問題になっているのでしょう。というか、日本の今のジェネリック推進政策もアメリカの政策を導入したものとも言えるし。
FDAが認証するジェネリックは、そうではないジェネリックよりも信頼感がありますね。

ジェネリックを認証した、ということは、プラビックスの有効性が幅広く受入れられ、売り上げも大きい、ということの裏返しかもしれません。

しかし、アメリカでも、「血液サラサラ」という表現があるんだなあ。

「blood thinner」

thinnerって用語は、カタカナで「シンナー」と書けばわかるように、「薄める」という意味。そもそも、プラビックスなどの血小板機能抑制薬って、血液を「薄める」効果はありませんので、科学的に正しい表現とは思えない。
でも、あのFDAが出した文章に、きちんと書かれているから。うーむ。

と、勝手に思っていましたが、きちんとOxford辞書をみてみましたら、thinnerとは、”a volatile solvent used to make paint or other solutions less viscous”とのこと。
意味としては、塗料を作るための溶剤で、よいのですが、最後に、「less viscous」とあります。
「粘度を下げる」という意味ですね。

ならば、あながち、間違いでもないか。でも、誤った認識を引き出すような感は拭えないなあ。


FDA approves generic versions of blood thinner Plavix
(FDAは、血液”サラサラ”薬プラビックスのジェネリックを認可)*日本語訳は、私が勝手に。

http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm304489.htm

The U.S. Food and Drug Administration today approved generic versions of the blood thinning drug Plavix (clopidogrel bisulfate), which helps reduce the risk of heart attack and stroke by making it less likely that platelets in the blood will clump and form clots in the arteries.

Clopidogrel is FDA-approved to treat patients who have had a recent heart attack or a recent stroke, or have partial or total blockage of an artery (peripheral artery disease).

“For people who must manage chronic health conditions, having effective and affordable treatment options is important,” said Keith Webber, Ph.D., deputy director of the Office of Pharmaceutical Science in the FDA’s Center for Drug Evaluation and Research. “The generic products approved today will expand those options for patients.”

Clopidogrel has a boxed warning to alert health care professionals and patients that the drug may not work well for those with certain genetic factors that affect how the body metabolizes the drug. Patients can be tested for these genetic factors to ensure that clopidogrel is the right choice for them. Also, certain medicines, such as proton pump inhibitors Prilosec (omeprazole) and Nexium (esomeprazole), reduce the effect of clopidogrel, leaving a person at greater risk for heart attack and stroke.

Clopidogrel may cause bleeding, which can be serious and sometimes lead to death. While taking the drug, people may bruise and bleed more easily, be more likely to have nose bleeds, and it may take longer for all bleeding to stop. Clopidogrel is dispensed with a patient Medication Guide that provides important instructions on its use and drug safety information.

Dr. Reddy's Laboratories, Gate Pharmaceuticals, Mylan Pharmaceuticals, and Teva Pharmaceuticals have gained FDA approval for 300 milligram (mg) clopidogrel. Apotex Corporation, Aurobindo Pharma, Mylan Pharmaceuticals, Roxane Laboratories, Sun Pharma, Teva Pharmaceuticals, and Torrent Pharmaceuticals have received approval for 75 mg clopidogrel.

Generic drugs approved by FDA are of the same high quality and strength as brand-name drugs. The generic manufacturing and packaging sites must pass the same quality standards as those for brand-name drugs.

Information about the availability of generic clopidogrel can be obtained from the manufacturers.

新人の指導のために、体を提供

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先日、看護師さんの左前腕に大きな出血斑が、半袖の制服から見えていたので、「どうしたの?」って、聞いてみたら、こんなことだった。

「先生、新人の指導ですよ」

「あ、点滴の?」

静脈穿刺の練習台になったのですね。
おつかれさまです。それにしても、痛々しい。

「もしかして、DV?って、思ったんですよ」と、ジョークを続けてみました。

新人看護師の練習台として、我が身を差し出した看護師さんは、笑ってくれながら、さらに、続けてくれました。

「まさか、それは、ありません!(笑)。新人に、いきなり、患者さんの血管に刺しなさい、というわけにもいかないですからね」

新人の看護師の指導の役割を受け持っているようです。
おつかれさまです。

もちろん、当院にも、そのような、痛い手技の練習のための模型やシミュレータは用意してあります。
各社、かなりの工夫をこらしていて、私が研修医だったころの模型と比べると、格段の技術の進歩を感じますし、もちろん、価格も(笑)。

でも、最後は、生身の体での経験を積み重ねる必要があります。どうしても。
去年、私も、一年目の研修医の採血練習のために、自分の前腕を差し出したことを思い出しました。

全国の病院で、新人の研修医や看護師が、手技を患者さんにする前に、先輩やお互いの身体を活用しているのだろうなあって、思います。

内出血斑、痛々しいですが、腕を差し出した側にとって、「労災」ってことにはできないでしょうかね。でも、もし、皮神経の損傷などがあって、合併症というか、後遺症が出たら、労災の申請をするべきだろうとは思いました。

NHKクローズアップ現代が、胃瘻の問題をとりあげていた

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NHKのクローズアップ現代、好きな番組の1つですが、19時30分からなので、なかなか、視聴することが難しいですよね。仕事をしているから。

今日は、胃瘻の問題をとりあげていました。


人生の最期 どう迎える?
〜岐路に立つ延命医療〜

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3199.html

なかなか、興味深かったですが、結論が簡単に出る問題ではありません。

今、私自身も、胃瘻を造設する予定の患者さんを、2名、担当しています。また、胃瘻を造る対象となる患者さんですが、ご家族の希望により、胃瘻を造らないで診療を継続している患者さんも、3名、おられます。
ご家族もお悩みですし、私自身も、忸怩たる思いがあります。でも、その中で、治療方針の結論を導きだし、患者さん一人一人の尊厳と、ご家族のお気持ちを大切にしながら、医療を進めて行くしかありません。
なぜなら、患者さんは、実際に、日々を生きておられるからです。

見逃した方、また、深夜に再放送もあると思います。
*NHKによれば、再放送はない、とのことですが、衛星放送も含めれば、意外に、再放送に出会うこともありますよね。

NHKのサイトには、オンデマンドのサービスもあります(有料)と、かいておけば、NHKさんは、喜んでくれるかしら。

ガサツなスポーツ商業主義への警鐘か

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いまさら、オリンピックが、商業主義と別次元のものである、と、思ってはいません。

プロスポーツである、サッカーのワールドカップやプロゴルフなどは当然とも思いますが、アマチュアスポーツとされる、フィギュアスケートにしろ、バレーボールにしろ、水泳にしろ、もう、商業主義とは別に成立することは困難なのかな、と、あきらめのような境地。

それどころか、逆に、いまでは、商業主義と手を結ぶことが、各スポーツのブレイクスルーとして、推進されているようにも感じます。たとえば、柔道、卓球、バトミントン、ラグビー、ホッケー、女子サッカーも?
このままいけば、どんどん広がりそう。
「剣道よ、お前もか」なんて、思いたくないなあ。

商業主義とは隔絶されていた、日本の高校野球も、今は、怪しくなってきたように思います。
あくまでも、個人的な感想ですよ。

簡単にいえば、「広告媒体」としての価値を高めること。

だから、世界的規模のスポーツイベントである、オリンピックが、今では、商業主義まみれ、になっていることは当然なのかもしれません。
ロンドンオリンピックでは、ゴルフが久しぶりに正式種目になったと、聞いていますが。

さて、お笑い芸人が、ロンドンオリンピックへの出場をめざしていたことがニュースになっていますが、国籍を変えてまでのマラソンの選手代表や、女子ボクシングへの出場、なぜ、お笑い芸人なの?、そもそも、実力はあるの?という素朴な疑問を押しつぶすような、一方的な大量の情報のおしつけ。

でも、今回、いずれのケースも、選手としての出場は認められませんでした。
それで良かったと、私は思っています。
だって、あまりに、ガサツな商業主義ですもの。
やるなら、もっと、スマートにやって、人々を騙してください。

もし、本人たちの真摯な努力の気持ちがあるなら、商業主義とは隔絶した形で、再チャレンジをしてください。それなら、心から応援したいと思います。

脳でコントロールするロボットアームの実用実験に成功

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脳の表面に、神経信号を拾う、センサーを埋め込み、それからの信号をもとに、ロボットアームを動かすことに成功した、とのニュースが、Natureのニュースサイトに掲載されていました。
脳卒中で、手の麻痺をきたした患者さんの療養生活への活用が考えられているそうです。

でも、他にもいろんなことに使えそうな。
映画マトリックスやアバターにも似たようなデバイスが描かれています。

やはり、人間の脳とのインターフェースの問題がずっとついてまわるかなあ。安全性の高い接続装置が開発されれば。
また、拾い出せた脳や神経の信号を、機械の具体的な動きの制御に用いること(翻訳でいいかな?)には、訓練(リハビリテーションの1つになるかも)が必要だろうと思います。


Mind-controlled robot arms show promise
People with tetraplegia use their thoughts to control robotic aids.
(心が制御するロボットアームの開発に成功 
四肢麻痺の人々が、ロボットによる支援を制御することに自分の思考を用いる)

http://www.nature.com/news/mind-controlled-robot-arms-show-promise-1.10652

16 May 2012

Two people who are unable to move their limbs have been able to guide a robot arm to reach and grasp objects using only their brain activity, a paper in Nature reports today.

The study participants — known as Cathy and Bob — had had strokes that damaged their brain stems and left them with tetraplegia and unable to speak. Neurosurgeons implanted tiny recording devices containing almost 100 hair-thin electrodes in the motor cortex of their brains, to record the neuronal signals associated with intention to move.

In a trial filmed in April last year and presented with the paper, Cathy, who had her stroke 15 years ago and received the implants in 2005, used her thoughts to steer a robot arm to grasp a bottle of coffee and lift it to her lips. She drank and smiled (see video).

‘We’ll never forget that smile,” says Leigh Hochberg, a neuroengineer at Brown University in Providence, Rhode Island, and a co-author of the paper.

The work is part of the BrainGate2 clinical trial, led by John Donoghue, director of the Brown Institute for Brain Science in Providence. His team has previously reported a trial in which two participants were able to move a cursor on a computer screen with their thoughts.

“To move from this type of two-dimensional movement to movements involving reaching out for an object, grasping it and then guiding it in three-dimensional space is a huge step for us,” says Donoghue. “It seems like more than one additional dimension in complexity.”

The power of thought
The challenge lies in decoding the neural signals picked up by the participant’s neural interface implant — and then converting those signals to digital commands that the robotic device can follow to execute the exact intended movement. The more complex the movement, the more difficult the decoding task.

The neuroscientists are working closely with computer scientists and robotics experts. The BrainGate2 trial uses two types of robotic arm: the DEKA Arm System, which is being developed for prosthetic limbs in collaboration with US military, and a heavier robot arm being developed by the German Aerospace Centre (DLR) as an external assistive device.

In the latest study, the two participants were given 30 seconds to reach and grasp foam balls. Using the DEKA arm, Bob — who had his stroke in 2006 and was given the neural implant five months before the study —- was able to grasp the targets 62% of the time. Cathy had a 46% success rate with the DEKA arm and a 21% success rate with the DLR arm. She successfully raised the bottled coffee to her lips in four out of six trials.

子宮頸がん・ヒブ・肺炎球菌、公的接種拡大へ

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子宮頸癌、インフルエンザ菌b型、小児用肺炎球菌の3ワクチンが公的助成のある定期予防接種の対象となり、恒久的な制度が整備されるようです。2013年度から。
よかったですね。

これで、どこかの会社の株価が上がるようなことになるのなら、なんだか、不思議なんですけど。


読売新聞から

子宮頸がん・ヒブ・肺炎球菌、公的接種拡大へ

 若い女性で増えている子宮頸がんや乳幼児の死亡につながりかねない細菌性髄膜炎などを予防する三つのワクチンについて、厚生労働省は2013年度にも定期予防接種の対象とする方針を固めた。

 3ワクチンは2010年度から緊急事業として公的接種が実施されており、今年度末まで期間が延長されているが、これを恒久化する。3ワクチンは欧米では既に公的接種に組み込まれているといい、ようやく先進国の水準に追いつくことになる。
 同省が新たに定期予防接種の対象とするのは子宮頸がんとインフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)、小児用肺炎球菌の3ワクチン。既に公的接種が実施されていることから、これが途切れることは感染症対策として好ましくないと判断した。同省は今国会に改正予防接種法案の提出を目指す。
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